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<共同研究>アルミニウムによるコロナウイルスの不活化 - 市立岸和田市民病院
・<共同研究>呼気に含まれるウイルスの検出 - 市立岸和田市民病院
<共同研究>呼気に含まれるウイルスの検出 - 市立岸和田市民病院

  新型コロナウイルス感染症拡大の背景には、感染者からの飛沫による感染と、飛沫に接触した手などで鼻や口を触ることによる接触感染が主な原因とされていますが、世界の検査機関からは、呼気に含まれるエアロゾル経路も報告されています。通常の検査では、鼻咽頭と鼻腔から採取した拭い液を、抗原定量検査、抗原定性検査・核酸増幅検査(以下「PCR検査」という) などの検体として検査することが一般的です。

 今回の研究では、呼気中のウイルスの存在を確認すると共に、呼気から簡易にウイルスの検出することの可能性を検証する目的で共同研究が実施され、弊社が特許を保有する「容易に感染の有無を検査できる検査キット」(ウイルス等検出フィルター:特許第6850514号)を研究に提供。弊社が特許申請している「呼気凝縮液をサンプルとするウイルス検出方法  特願2021-100228」の検査方法を使い、市立岸和田市民病院と入院患者のご協力の元、約1年間に渡る共同研究を実施いたしました。

・研究の目的

 終息の見込みが望めない新型コロナウイルス環境の中で、感染拡大を抑止するために、新規ウイルス感染者を激減させ、ウイルスに怯えない社会環境を作り出したい。その為には、簡便に検査出来る事や周囲に拡散しない事が大切と考える。

・共同研究者
 ・株式会社ドーン  神奈川県伊勢原市
 ・市立岸和田市民病院  大阪府岸和田市 (医療機能評価機構認定・コロナ患者対応病院)

 ・研究名 「呼気中のウイルスを検出できるマスク」 

・試験について

 同一マスク内に、アルミガーゼとマスク生地(以下、コントロール生地)を左右に貼り付けウイルス量を測定

・試験方法(※1)

 1・新型コロナウイルス感染入院患者(デルタ、オミクロン株も含む)、臨床試験用マスクを装着 

 2・3時間経過後、試験用マスク取り外し、唾液を採取 

 3・PCR検査にて、ウイルス量の測定。測定箇所は下記の6箇所

 ・アルミガーゼ本体、アルミガーゼ通過後のPFE99%不織布

 ・PFE99%不織布通過後の液化呼気 

 ・コントロール生地本体 

 ・コントロール生地通過後のPFE99%不織布 

 ・コントロール生地

 ・PFE99%不織布通過後の液化呼気

(※1)特許出願中 :呼気凝縮液をサンプルとするウイルス検出方法  特願2021-100228


・試験結果

① 臨床試験では、マスクを装着した患者の呼気を、液化呼気として収集することに成功。収集した液化呼気を検査した結果、呼気にウイルスが存在することを確認。

② VFE99%マスクは、約0.1μm~5.0μmのウイルスが含まれた粒子を99%ろ過すると定義されているが、今回の実験で、VFE99%不織布フィルターを通過するウイルスを確認しました。 

 論文より引用:we investigated whether breath condensates collected through a gauze and filter with 99% VFE contained SARS-CoV-2 RNA. Ours is the first study to detect SARS-CoV-2 RNA in expired breath filtered with a non-woven mask with 99% VFE. This raises the possibility of SARS-CoV-2 transmission, regardless of wearing a non-woven mask. 

 翻訳:99%VFEのガーゼとフィルターを通して収集された呼気凝縮液にSARS-CoV-2RNAが含まれているかどうかを調べました。我々の研究では、99%VFEの不織布マスクでろ過した呼気から、SARS-CoV-2 RNAを検出した初めての研究である。このことは、不織布マスクの着用にかかわらず、SARS-CoV-2が感染する可能性を示唆している。


・考察

 新型コロナウイルスの主な感染経路として、くしゃみなどで飛び散った飛沫(ひまつ)による感染と、飛沫などに触れた手で鼻や口を触ることによる接触感染の2つと考えられていたが、今回の研究で、呼気にウイルスの存在を確認したことにより、ウイルスを含んだ空中の微粒子を吸い込むことで感染する「エアロゾル感染」の可能性を示唆。

また感染者がウイルスを99%ろ過するVFE99%マスクを装着していても、フィルターを通過する呼気のウイルスを除去しきれない可能性と、漏れ出す呼気にウイルスが含まれる可能性があり、これらも空気感染の原因の可能性も考えられる。

・論文

 共同研究でコロナウイルスの不活化を実証したデータは、世界中のパンデミックの抑止の一助になると考え、医学系学術誌へ論文を提出いたしました。 この研究成果は、独自の研究結果であり、新しい知見や最新の研究内容をまとめた、完全オリジナルな論文として認められ、スイスの世界最大のオープンアクセス出版社MDPI社が監修する、査読付き医学系感染症論文誌の「Infectious Disease Reports」誌に、原著論文として掲載されました。

論文の詳細

ジャーナル名 :Infectious Disease Reports / 医学系感染症論文誌
論文の種別:原著論文/Article
タイトル:Aluminium Gauze Reduces SARS-CoV-2 Viral Load in Non-Woven Masks Worn by Patients with COVID-19
タイトル(和訳)"アルミニウムガーゼは、コロナの患者が着用する不織布マスクのウイルス量を低減"
発行日:2022年4月6日
出版物へのリンク:https://www.mdpi.com/2036-7449/14/2/30/htm

 

 

医療機能評価の認定とは
病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動(機能)が、適切に実施されているかどうかを評価する仕組みです。国民に適切で質の高い医療を保証するために、平成7年に設立された「財団法人日本医療機能評価機構(厚生労働省認定)」などの第三者機関が、病院などの医療機関に対する審査を行い、その質を評価するものです。

 

MDPI  とは

MDPIは本社をバーゼル(スイス)に置く世界最大のオープンアクセス出版社で、年間の出版論文総数は2020年には16万報を超え、世界最大のオープンアクセス出版社となった。取り扱う分野は医学、自然科学、工学、社会科学など多岐にわたり、2020年末時点で300以上の査読済みオープンアクセスジャーナルを出版している。 https://www.mdpi.com/

原著論文/Article  とは

原著論文とは、新しい知見や最新の研究内容などをまとめて発表したもので、基本的に査読が行われてから学術雑誌などに掲載されます。著者独自の研究および研究結果である必要があり、論文を投稿する際は他の雑誌にも掲載・投稿がされていない未発表のものでなければいけません。英語で、Original Articleと呼ばれるように、完全オリジナルの論文で、一般的に「一次文献」と呼ばれます。

 原著論文で取り扱われる問題は基本的に1つで、それに関する研究内容と結論が明確に記載される必要があります。取り扱われている問題に対するリサーチや実験とその結果、そして方法(Methods)は客観的に述べられ、その方法と結果は再現性を持たなければいけません。査読の過程において査読者が再現性がないと判断を下した場合、その論文は却下され、掲載されることはまずありません。ちなみに、再現性とは、その研究を論文に記載されている通りに再現した場合、同じ結果が得られることを指します。もちろん新しい知見や研究内容を発表する論文ですので、再現性の有無が論文の質を決めます。

出典:Genius Plus https://genius.jp.net/proofreading_25