2022年4月20日
市立岸和田市民病院(大阪府岸和田市)、株式会社ドーン(神奈川県伊勢原市)との共同研究で、フィルターを通して呼気を液化し、ウイルスの存在を調べた結果、呼気中のSARS-CoV-2の存在を確認。アルミニウムのガーゼを通過した呼気は、SARS-CoV-2を不活化することを確認。これにより、SARS-CoV-2の空気感染の可能性と、アルミニウムによる拡散防止及びクラスター対策が期待できる。この発見は世界初であり、研究論文は査読付き医学系感染症論文誌に掲載。
【論文の詳細】
ジャーナル名 :Infectious Disease Reports / 医学系感染症論文誌
論文の種別:原著論文/Article
タイトル:Aluminium Gauze Reduces SARS-CoV-2 Viral Load in Non-Woven Masks Worn by Patients with COVID-19
タイトル(和訳)"アルミニウムガーゼは、コロナの患者が着用する不織布マスクのウイルス量を低減"
発行日:2022年4月6日
出版物へのリンク:https://www.mdpi.com/2036-7449/14/2/30/htm
【本研究の背景】
新型コロナウイルス感染症拡大の背景には、感染者からの飛沫による感染と呼気に含まれるエアロゾル経路が存在しているが、通常の検査では、鼻咽頭と鼻腔から採取した拭い液を、抗原定量検査、抗原定性検査・核酸増幅検査(以下「PCR検査」という) などの検体として検査することが一般的である。今回の研究では、呼気中のウイルスの存在を簡易に検出することの可能性を検証する目的で共同研究を実施。
【研究内容】
新型コロナの軽症患者29名に同意を得て、研究試験用マスクを装着してもらい、呼気を自然に液状化させて溜められるマスクの一部に、アルミニウム蒸着ガーゼを取り付けて、アルミニウムガーゼと、アルミニウムを取り付けていないコットンガーゼをそれぞれ検査。ガーゼの前後と溜めた呼気液を含む6箇所で、SARS-CoV-2を調べた。
【研究結果】
① アルミニウム蒸着ガーゼの通過した呼気液はウイルスが検出されず、被験者は陰性となった。また、通常のガーゼを通過した呼気液と比較したところ、同ウイルスに対する不活化力が有意に高かった。
② コットンガーゼの前後(接触部)ではウイルスを確認。アルミニウムガーゼの前後では、ウイルスを確認できなかった。
③ VFE99%マスクは、約0.1μm~5.0μmのウイルスが含まれた粒子を99%ろ過すると定義されているが、今回の実験で、VFE99%不織布フィルターを通過するウイルスを確認しました。
【本研究の結論】
①呼気にウイルスが存在することを確認
②アルミニウムがウイルスを不活性化
③ウイルスの拡散防止の可能性を示唆
これまで課題とされていたマスク機能に、ウイルスの不活化機能を加えることが可能となり、空気感染による拡散防止、クラスター対策に極めて効果的だと考えられます。